1. ファーストクラスは何が違うのか

私が航空会社に入社した頃は、丁度バブル経済の真っただ中でした。

当時主流だったボーイング747(通称ジャンボジェット)のファーストクラスは席が増設され幸運にもファーストクラスを担当する機会に恵まれました。

世界で活躍される方にとって、たくさんの視線を逃れ、機内はホッとできる貴重な休息の空間であったと思います。

何気ない会話に聞き耳を立て、仕草や醸し出す雰囲気を感じ取り、固有のご要望を察知し心地良く過ごしていただけるように心掛けていました。

『個別性』です。

2. 小さな関わりの瞬間が受講者のマインドを変える

研修での受講者に対する関りも同じだと考えています。一人ひとりに関わっていく。
例え、50人を超える受講者でも十(じっ)把一(ぱひと)絡(から)げでは心に届きません。

ある企業での2日間の新入社員研修の初日、髪の毛が顔を覆い、表情が殆ど見えない新入社員がいて気になっていました。
翌日、彼女は『身だしなみ』の重要性に気づいたのか、長い髪を後ろで束ね、前髪をピンで留めてきました。

研修開始前に「○○さん、今日の髪形の方が明るく見えますね」と伝えると驚いた様子で、「え、私のこと覚えていてくれたのですか!50人もいるのに…」

2日目の朝のこの短い会話により彼女の研修への意欲は高まり明るい笑顔での発言がグッと増えました。

3. 研修にも個別性を活かす

人数が多くなると全体への投げかけや問いかけが中心となりがちですが、ちょっとした個別の声掛けが重要だと考えています。

特定の目立つ人だけへの声掛けにならない工夫は必要です。
名指しで褒めたり、グループ討議での発言を覚えておき「○○という良い意見があがっていました」と全体に向けて伝えることもできます。

グループ討議中、最初は発言を全くしなかった受講者が、遠慮がちであったとしても変化が見られた場合は、個人の変化に目を向けて言葉にして承認することもできます。

例え全員に声をかけられなかったとしても一人ひとりと関わろうとする努力を続けたいものです。

ファーストクラスマインド認定講師は『個別性』を大切にするマインドで研修に臨んでいます。