講師として登壇するとき、前向きでやる気に溢れた受講者ばかりではありません。

上司の指示で仕方なく参加している場合も少なくありません。

興味をもち、やる気を喚起する必要があります。

時に『注意をする』『叱る』ことも必要になってきます。

どのような心構えで対応していったら良いのか、乗務員時代に先輩から教えていただいたことをお伝えしていきます。

1. 勤務態度の良くない新人

私が新人パーサーになった頃、気になるもう一人の新人がいました。

勤務態度が明らかに良くないのです。

乗務員には決められた出勤時間がありますが、通常2時間程前には出頭し、フライト先の入国情報やサービスについて確認していました。

その新人は、出頭時刻も遅く調べ物もしっかり行っていないようで、サービスも独自のやり方に固執しているように見えました。

そのような彼女の態度について先輩パーサー達と相談する機会がありました。

私は正義感を振りかざし、厳しく注意をするべきだと一途に思ったのです。

少々興奮気味にその旨を先輩パーサーに伝えました。当然、共感してもらえるものと思っていました。

2. 注意するときの先輩からの教え

ところが、そのとき先輩パーサーに言われました。

「それは間違っているから改めるべきです!と厳しく言ったら彼女は本当に勤務態度を改めるかしら。反発するだけではない?」

『私は正しい』と信じていただけにとても驚きました。

『注意するときはどこかに逃げ道を残し、どんな場面でも相手の意見を尊重するのよ』

衝撃が走りました。

確かに、正論であっても相手が受け取れなくては意味がありません。

若かった私には驚きの教えでした。

3. 注意するときの講師の心構え

冷静に考えてみれば、私も頭ごなしに言われたら表面的には「はい」と返事をしたとしても、心ではきっと反発心をもつだろうなと納得しました。

自分の信念をぶつけるだけでは人格否定にもなりかねません。

相手の成長を願い『叱る』必要があるときには、相手の言い分も聞き、どう行動したら良いのかを伝えるよう心掛けます。

この教えは、かれこれ20年以上前のことですが、受講者と関わるときの心構えになっています。

ファーストクラス・マインド講師の心構えの一つです。