受講者からの質問に答えられず、困った経験はありませんか?
この記事では、
受講者からの質問への基本の答え方と
講師が困る質問への答え方のヒントを解説します。

質問といっても様々ありますが今回は
・「基本の答え方」
・「反論への答え方」
・「的外れな質問への答え方」
・「直ぐに返答できない質問への答え方」
などについて個々に考えていきましょう。

基本の答え方

質問が上がるのは、内容に対して興味を持った証拠です。
講義内容が自分ごとになり、
ただ聞くだけよりも記憶に残り
日常業務に持ち込むことができます。

また、的を射た返答は、
参加者全体の理解を深め、
プラスアルファの情報を伝えられる機会にもなります。

とはいえ、
答えられない質問があるのではないかと
講師としてはドキドキする
不安材料の一つでもあります。

まずは、基本の質問への答え方を紹介します。

  1. 質問への感謝
  2. 質問内容の要約
  3. 結論(YES・NO)+詳細説明
  4. 答えになっていたかの確認

次に、1から4の項目について
順に解説していきます。

質問への感謝

まずは、「~についての質問ありがとうございます」
お礼を述べます。

大勢の参加者の中で挙手をして質問をするのは、
多くの場合、勇気がいることで
心理的な壁を乗り越えてのことです。   

また、研修内容に興味を持った参加者がいることで
他の人達を巻き込むことにもなります。

質問内容の要約

質問の意図を講師が捉えているかを確認し、他の受講者にも質問内容を改めて伝えます。

「疑問に思った点は~ということですね」
「~というご質問でよろしいでしょうか」
など
講師が受け取った内容を伝えます。

要約する目的は2つあります。

  1. 質問者の意図と相違ないか確認する  
  2. 他の受講者に質問内容を周知する

ボタンの掛け違いがないか
返答する前に明らかにしておきます。

会場が広い、質問者の声が小さいなど
質問内容が全体に届かないこともあるため、
要点を伝え返します。

結論(YES・NO)+詳細情報

質問内容への返答はまず、「結論」を伝えます。
YES・NOがいえる内容であれば
「結論から申し上げると~はYESです」
といいます。

講義中の説明では、
メタファー(隠喩)やストーリーを用いて
その後、結論を伝えることがあります。

しかし、質問への返答で先に、
補足説明をしたり、事例を伝えてしまうと
「で、結論は?」
とかえって疑問を生じさせてしまいます。

答えになっていたかの確認

「今の説明で○○さんの質問の答えになっていましたか?」
伝えて確認をします。

講師自身は答えたつもりでも、
相手にとって必要十分
かは分かりません。

反応を見て、納得がいっていないようなら
「具体的にはどの部分が分かりにくいですか?」
と質問内容を細分化して答えていきます。

この場合、「ご理解いただけましたか?」
という表現は避けた方が良いでしょう。

分からないことを質問したときに
「理解」という表現を使うと、
「能力がない」といわれているように
受け取ることがあるからです。

 

反論への答え方

全体の理解を促進する良い質問ばかりではなく、
異議を唱えるような講師にとって厳しい質問もあります。

反発を示すような表現を聞くと、
こちらも少し(いや、かなり)感情が揺れることがあります。

ここで大切なのは、反論している目的の見極めです。
・別の意見を伝えたいのか
・自分の知識や意見を伝え存在をアピールしたいのか
・講師を試しているのか

・別の意見を伝えたいようであれば、
正解は一つではありませんので、
真摯な姿勢で聴くことが大切です。

一理あると思えることは
自分自身の新たな考え方や見識が広がる
チャンスといえるかもしれません。

・自分の知識や意見を伝え存在をアピールするのが目的
と思われる場合は、
「○○さんは知識が豊富でいらっしゃいますね」
「そういう捉え方があるのですね」
と承認します。

「そのような考え方もありますね。ありがとうございます」
と時間をかけずに終わらせることも必要です。

・一番困るのが、講師を試していると思える場面でしょう。

真正面からぶつかり合うのも一つの方法かもしれません。
しかし、場の雰囲気が悪くなるので避けたほうが良いでしょう。

余りにも理不尽な主張であれば、
他の参加者から助け舟がでることもあります。

参加者30名ほどがほぼ60歳以上で社会人経験豊富、
講師の私が一番年下という研修を6年ほど担当していました。     

持論を強く展開し
困らせるような質問をする方が時々いらっしゃいました。
反論を受け止め、補足説明をし、
違う角度から伝えても納得されません。

内心「困ったな」と思っていると、
他の参加者が正論を唱え収まることがありました。

一旦強く出てしまうと引っ込みがつかないこともあり、
講師の意見よりも
同じ立場の人の意見の方が受け入れやすい場合もあります。


様々な価値観の方がいらっしゃいます。

時には、相容れないこともあり、
心が傷ついたり、投げ出したい気持ちになったりします。

しかし、どんなときでも
賛同している参加者は必ずいます。
その人たちに気持ちを向けて講座を続けていけばよいのです。

的外れな質問への答え方

参加者の個人的な質問や講義とは関係のない
的外れな質問が出ることもあります。

このような時でも
「○○さんの質問はとてもユニークな捉え方で、興味深いです」
と勇気を出し発言したことをしっかり受け止めます。

きわめて個人的で他の人たちに必要なさそうであれば、
全体の進行を考え、
「○○については、後ほど個別にお答えします」
と返答します。
質問者には恥をかかせないように配慮します。

直ぐに返答できない質問への答え方

講師にも分からないことはあります。
質問への感謝、質問内容の要約を伝えた後、
曖昧な返答はせず、分からなければ調べて返答すると伝えます。

返答の方法と期日、例えば、
「メールで担当者を通して〇日までに返答します」
と伝えておくと良いでしょう。

専門外のことであれば
「~については私は分からないです」
と率直に伝えることも必要です。

まとめ

今回は受講者からの様々な質問への答え方の基本を考えてみました。

何となく質問に答えるのではなく、
まずは「基本の答え方」を意識するように
心掛けてみてはいかがでしょうか。

事前に質問が出そうなところは準備しておきますが、
予想外の質問には角度を変えて捉えてみたり、
分かる範囲で返答しようとする姿勢が大切です。

【基本の答え方】

  1. 質問への感謝
    「~についての質問ありがとうございます」
  2. 質問内容の要約
    「疑問に思った点は~ということですね」
  3. 結論(YES・NO)+詳細説明
    「今の質問の答えはYESです。なぜなら~だからです」
  4. 答えになっていたかの確認
    「今の説明で○○さんの質問の答えになっていましたか?」

的確でためになる返答が出来るようにするには、知識を増やし、スキルを磨き、経験を積み自己研鑽し続けることが一番の近道と考えています。

最後までお読みいただきありがとうございます。
あなたの研修が実りあるものとなりますように。