研修はお客様のお困りごとが発生したところから始まります。
研修講師は研修会社を通した仕事でも、慣れてくると営業担当者と一緒にお客様先を尋ねて打ち合わせを行うことがあります。
この打ち合わせこそが研修成果の良し悪しを決める重要な場面です。
1. 完璧なはずの研修の結末
これまで数年にわたり、研修を行ってきた企業があります。
会社内の異動があってご自分の考えをしっかりもった熱血漢の方が担当になりました。
「社内の垣根をなくす」がテーマ、ご要望を聞き取り質問をしてかみ砕いて、「よし、行ける!」と思いました。
その内容を図解して先方に確認し、カリキュラムを作成しました。
これまでにない切り口で独自の新しいやり方を考え、「完璧だ、いい研修になりそう」と思っていました。
2. 手応えが感じられない
始まってみると10日間の研修の中で、これまでのような手応えが感じられない日がありました。
受講者の反応が今一つなのです。
全ての研修終了後、これまでにはなかった反応の悪さの原因を考えてみました。
アンケートを読み返し、メンターにも相談をしていくうちにやっと課題点が見えてきました。
見落としていたのは、
- 「社内の垣根」とは何で
- 「垣根をなくす」とは具体的にどうなることなのか
についての共通認識でした。
私は、『各部署の問題点や大変さを分かり合うための、分析と理解』と捉えていました。
しかし、そうではなく相手の立場に立った『具体的なコミュニケーションの仕方の体験』だったのです。
もう一歩踏み込めば分かることでした。
3. 講師は『相手の要望を具体的な共通言語にする』
この必要性、大切さが身にしみた経験でした。
『社内の垣根をなくす』という体の良い言葉を聞き分かったような気になり、目的地のない航海に出てしまったようなものでした。
荒波を乗り越え、いくら頑張っても目的地がはっきりしていなかったのです。
この経験から、打ち合わせでは相手の使った言葉を活用して想いを明らかにし、
受講者の方がどのような状態になれば良いのかを最後にもう一度確認するようにしています。
どんな研修でも打ち合わせが研修成果のカギを握ります。